【見えざる恐怖】秀逸サイコホラー『透明人間』見えない敵とどう戦う…?

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あなたがもし透明人間になれたら何をしますか?

誰しも一度「透明人間になれたら好き放題出来るだろうなー」と妄想したことがあるのではないでしょうか。

しかしもし透明人間というものが実現したら、実際のところ世界は大パニックに陥ってしまうでしょう。

あなたが思っている以上に、「透明人間」というものの恐怖感は大きいのです。

もし透明人間が実現したらどのような恐怖が待っているのか体験できる映画が存在します。

タイトルはそのまんま『透明人間』(原題:The Invisible Man)

今回はそんな透明人間の恐怖を描いた名作サイコホラー『透明人間』のあらすじと面白さ、鑑賞するときに押さえたいポイントについて解説します!

もりけぇ

ネタバレはありませんので、安心してお読みください。

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目次
執筆者情報

もりけぇ

  • 30代のフリーランスブロガー&ライター
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基本情報

Image:『透明人間』公式

基本情報

公開年・国2020年・アメリカ
上映時間124分
監督リー・ワネル
キャストエリザベス・モス
オルディス・ホッジ
ストーム・リード

予告編

配信サイト

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あらすじ

セシリアは実業家のエイドリアンと海沿いの豪邸で同棲生活を送っていた。

優れた光学研究者として成功を収めていたエイドリアンだったが、独占欲が異常に強く、セシリアのことを精神的にも肉体的にも束縛していた。

エイドリアンのそばにいることに耐えられなくなったセシリアは、とある夜エイドリアンに鎮静剤ジアゼパムを飲ませて熟睡させ、妹エミリーの手を借りて邸宅を脱出することに成功する。

友人であり刑事のジェームズの家にかくまわれたセシリアだったが、エイドリアンが追ってくるのではないかと神経を張り詰めて憔悴する日々を過ごしていた。

しかしそんな中、思いがけない知らせが届く。

エイドリアンが自殺し、セシリアに500万ドルの遺産を遺したというのだ。

にわかには信じられない話に驚くセシリアだったがエイドリアンの兄である弁護士トムと遺産譲渡の手続きを済ませたことでようやくセシリアはエイドリアンの束縛から解放されたと安堵する。

しかしその夜からというもの、家の中で不気味な気配を感じたり、深夜に布団をはがされる、持ち物が無くなるといった怪奇現象に見舞われるようになる。

奇妙な現象の連続に不安を覚えるセシリアだったが、そんな時、家の中で見覚えのある薬の瓶を見つけた。

それはエイドリアンの家を脱出するときに落としてしまったはずのジアゼパムの瓶だった。

セシリアはエイドリアンがまだ生きていて、何らかの方法で家に出入りしていることを確信する…

感想とみどころ

ここからは、『透明人間』を観てここが面白い!と思ったポイントについて解説します。

核心に触れるネタバレはありませんが、物語途中の情報に触れる部分があるため「前情報なしで鑑賞したい!」という方はまずはぜひ本編を鑑賞してみてください!

それでは鑑賞ポイントの解説いきましょう!

不安をあおる演出の数々

ビデオカメラを正面に向けている男性の背中が映っている。

本作の最大の目玉はやはり透明人間という見えない脅威の怖さを表現するための様々な工夫と言えるでしょう。

その中でも個人的に最も印象的だったのがカメラワーク

何もない空間をあえてジッと意味深に映すことで、いかにもそこに透明人間がいるのではないかと観客の想像力を掻き立てるカメラワークがたまりません。

他にも、いかにも透明人間の視点を追体験させるようなカメラワークもあり、隠れてセシリアを見張っているかのような居心地の悪いカットもありました。

このようにカメラの向きや位置だけで怖さを演出できるのはすごいですね。

様々な場面で透明人間がいることを示唆する演出が隠されているため、「このシーンには透明人間がいるのか…?」と画面をじっくり見て推理しながら観ると面白いです。

エイドリアンの執念

雨に濡れた通りのアスファルトにオレンジの街灯の光が反射している。
その通りを男性と思しき人影が歩いている。

セシリアに逃亡されたことで失意のすえに自殺してしまったとされたエイドリアンですが、その死は偽装であり、姿を隠したままセシリアに迫ります。

本作ではこのエイドリアンのセシリアに対する執念が物語を動かすエンジンとなっており、異常ともいえる執着からあらゆる手段でセシリアを孤立させて自分のもとに引き戻そうとします。

エイドリアンのサイコっぷりは筋金入りで、殺人すらいとわないその姿勢に震えが止まりません。

その上頭もよく、後述しますが巧妙にセシリアを陥れていく過程が狡猾すぎてもはや悪魔の所業かと思いました。

身の危険を信じてもらえないセシリア

女性がベッドの上でうずくまって泣いている。掛け布団をかぶっているが、すきまから体の左半身が見えている。

特に冒頭のセシリアはエイドリアンに対する恐怖心から、脱出後もかなり神経質になっている様子が丁寧に描かれています。

そんなセシリアが「セシリアがエイドリアンが生きている!誰かが部屋にいる!」といきなり騒ぎ始めるものですから、周囲の人がセシリアの精神的な疲弊から被害妄想を患っていると誤解してしまうもの無理はないのかもしれません。

さらにとあるシーンではセシリアが「どう見てもセシリアが人を殺した」というシチュエーションに陥れられてしまいます。
ここの絶望感はヤバかった…

どれだけ見えざる存在がいることを訴えても全く信じてもらえないセシリアはあまりにも不憫で、エイドリアンの策略で親しい友人や妹からも見限られて孤立していく様子は非常に心が痛みます。

そんな四面楚歌な状況から、いかにしてセシリアが形勢をひっくり返すのかというのも本作の見どころの一つとなっています。

結構リアル感のある「透明スーツ」

男性が左手にカメラのレンズを持っていて、レンズの向こうの景色が透けて見えている。

透明人間の映画と言えば『インビジブル(2000年)』も有名ですが、こちらでは主人公の研究者が薬を使って文字通り肉体をまるごと透明にしていました。

しかし科学的には肉体を透明にすることは難しいと言われています。
目の網膜が透明になってしまうと視覚が機能しなくなるとか、赤血球の色はどうやって消すんだとか、細かい問題を挙げだすときりがありません。

しかし本作『透明人間』では透明スーツというアイデアでこれらの生理学的問題をクリアしていました。

本作のスーツは私が見たところ、小さなカメラとスクリーンがセットになったような小型ユニットが大量に組み合わさっており、リアルタイムで撮影した景色を体表に投影することで疑似的に透明人間になっているようです。

この絶妙に実現できそうな形で透明人間を表現しているのもロマンがあって面白いなと感じました!

総評:途切れないスリルが楽しめる名作サイコホラー

私にとって透明人間の映画と言えば『インビジブル(2000年)』でしたが、こちらは地上波でもおなじみだったくらいにエンタメ寄りの映画でした。

一方本作『透明人間』は、観る人を本気で怖がらせる気満々の本格的なサイコサスペンスホラーに仕上がっており、キャストの演技や恐怖演出、ストーリー構成などあらゆる要素で満足することができた作品でした。

特にストーリーのクオリティは非常に高く、120分間ひたすら透明人間の恐怖におびえることが出来ます。

「怖いホラー映画が見たい」と思っている方には間違いなくおすすめできる名作ホラー映画です!

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