【U-NEXTで独占配信中】『パール Pearl』あらすじと感想 最高齢殺人鬼の原点

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前作『X エックス』ではおそらく映画史上で最高齢殺人鬼夫婦として観客の度肝を抜いたハワードとパール夫妻。

その前日譚となる続編『Pearl パール』がいよいよU-NEXTで配信されましたので、あらすじや私の感想についてまとめていきます。

もりけぇ

ネタバレはありませんので、安心してお読みください。

\前作はこちら!/

最新の配信情報は各配信サイトにてご確認ください。

目次
執筆者情報

もりけぇ

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基本情報

Image:『Pearl パール』公式

基本情報

公開年・国2020年・アメリカ
上映時間124分
監督リー・ワネル
キャストエリザベス・モス
オルディス・ホッジ
ストーム・リード

予告編

配信サイト

『Pearl パール』は現在U-NEXTでのみ独占配信中です!

あらすじ

1918年 テキサス。

スクリーンの中で踊る華やかなスターに憧れるパールは、厳格な母親と病気の父親と3人で人里離れた農場に暮らしていた。

パールの夫は戦争へ出征しており、父親の介護と家畜の世話という退屈な日々に鬱屈としながら、パールは農場の家畜たちを相手にミュージカルショーの真似事をするのがつかの間の幸せだった。

ある日、父親の薬を買いに町へ出かけた際に母親に内緒で映画を見たパールは、そこで若い映写技師の男に出会う。

自由人を自称する男と話したパールは、いっそう外の世界への憧れを募らせていく。

そんな時、町で巡業ショーのオーディションがあることを知ったパールはオーディションへの参加を強く望むが、母親は「お前は一生農場から出られない」とパーツを厳しくたしなめ全く聞く耳を持たない。

自らの夢を粉々に破壊する母の言葉に、ずっと抑圧され続けてきたパールの怒りが爆発する…

感想とみどころ

ここからは、『Pearl パール』を観てここが面白い!と思ったポイントについて解説します。

核心に触れるネタバレはありませんが、物語途中の情報に触れる部分があるため「前情報なしで鑑賞したい!」という方はまずはぜひ本編を鑑賞してみてください!

それでは鑑賞ポイントの解説いきましょう!

最高齢殺人鬼の原点に迫る

本作『Pearl パール』は前作『X エックス』の続編であり、全3部構成の作品のうちの2作目にあたります。

では他の映画でも類を見ない超高齢殺人鬼として観客に忘れられないトラウマを刻んだパールでしたが、今作ではそんなパールの若かりし頃が舞台になっています。

映画スターを夢見る田舎娘だった彼女がなぜ殺人鬼に変貌してしまったのかという最大の謎を、ダークなユーモアたっぷりにお届けしている本作。

また、本作を観ることで『X エックス』で老女パールが取っていた謎の行動や言動についても合点がいく部分が多くあります。

パールが殺人に目覚めた大きな要因として、周囲の抑圧的な環境、理想と現実のギャップが挙げられるでしょう。

私にも幼い子供がいますが、この映画を観るとより一層「子供には好きなことをさせてあげたいな」と思ってしまいますね…

主演ミア・ゴスの圧巻の演技力

『Pearl パール』と前作『X エックス』では両作品ともミア・ゴスが主人公を演じているのですが、前作では都会的な若者のマクシーンだったのに対し、今作では素朴な夢見る少女パールと対照的なキャラクターを見事に演じ分けています。

さらに前作『X エックス』では老女パールも実は特殊メイクを施したミアが演じていたという衝撃の事実。
彼女の女優魂にはひたすら頭が下がります。

『Pearl パール』でもその演技力を遺憾なく発揮しており、鬱屈とした環境で不満を募らせて狂気に目覚めるパールが超怖い。

劇中で特に印象的だったのは、出征中のハワードへの胸の内を軽く5分以上、ワンカットで一人で喋り続けるシーン。

最初は気づかなかったけど明らかに喋ってる時間が長い。

「え…?まだ喋るの?セリフの量エグない…?」と思わず驚嘆してしまうレベル。

さらに、怒涛のフィナーレからつながるラストカットのあの表情。

ぜひ本編のラストシーンはあなたの目で見届けてほしい。

レトロなミュージカル映画のような空気感

本作は随所でレトロなミュージカル映画がモチーフになっているように感じました。

パールがディズニープリンセスのように動物たち相手に話すシーンから始まり、心地よい音楽とともにうっとりした表情で悦に浸る様子はまさにミュージカル映画で夢を追う主人公そのもの。

そんな始まりなもんで「なんか昔懐かしい感じのミュージカル映画が始まったぜ」と油断して観ていたら、唐突に発揮されるパールの暴力性。

そしてブラックユーモアたっぷりのタイトルロゴ。

温度差激しすぎて風邪ひきそうですよ。

しかしそんな夢追うパールの行きつく先が高齢殺人鬼という末路であることは前作『X エックス』でご承知の通り。

観客はどんな気持ちで彼女の夢を応援すればよいのだろうか…

現代人も理解できる「感染症の息苦しさ」

舞台となった1918年は第一次世界大戦の真っただ中であり、ちょうどアメリカでスペイン風邪が流行していた時代です。

スペイン風邪は1918年から1920年にかけて全世界で大流行したインフルエンザの総称で、全世界での死者は5000万人から1億人と言われていて人類史上もっとも多くの死者を出したパンデミックの一つとされています。

劇中ではスペイン風邪に関する新聞記事や報道について触れられており、パールが街に出かけた際にはマスクを着用、さらに街中には患者の収容施設のようなテントが建てられていました。

パールの母親もパールに対して「病気を持ち込むな」と厳しく指導している様子も見られ、人々が病気に対すしてナーバスになっている雰囲気が感じ取れます。

こういった未知の病気に対する恐怖感や感染症対策の息の詰まるような感覚というのは、新型コロナウイルスのパンデミックを経験した私たちにとって十分理解できるものではないでしょうか。

総評:パールは現代人に似ている

現代はSNSの発達で自分と全く違く世界に生きる人々の生活を垣間見ることが出来ます。

しかし私たちはそんなキラキラした世界に憧れつつも、理想と現実のギャップに苦しみながら日々を生きているわけです。

これはまさに、映画スターに憧れつつも、田舎の農園で母親に管理されながら暮らす現実から逃れることができずにいる本作のパールと全く同じなのではないでしょうか。

夢を追う楽しさ、夢が潰えたときの絶望。

屈指のサイコキラーであるパールですが、その感情の起伏はどこか自分も理解できるものがあるように感じてしまいます。

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