テレ東のフェイクドキュメンタリー『魔法少女山田』を考察 「唄うと死ぬ歌」の正体とは?

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2025年にテレビ東京系列で放送されましたフェイクドキュメンタリーTXQ FICTIONの『魔法少女山田』

プリキュアとかセーラームーンとかまどマギとか、可愛い魔法少女が変身する作品はたくさんありますがメルヘン感もない「山田」とは…

画像引用:TXQ FICTION公式X

キービジュアルはまるで魔法少女がサラリーマン風の男性をやっつけている?かのような構図。
何かを暗示しているのでしょうか?

3週にわたって放送された本作をちょうどリアタイで追うことができまして、内容的にもかなり考察要素が満載でした。
この記事では各話のおおまかなあらすじと私の考察についてまとめていきます。

物語の核心を含むネタバレを含むため、未視聴の方は本編視聴後に読んでいただいた方が一層楽しめると思います。

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目次

『魔法少女山田』とは

画像引用元:『魔法少女山田』公式X

『魔法少女山田』は2025年にテレビ東京が放送したフェイクドキュメンタリーシリーズ「TXQ FICTION」の一作。
全3話。

『魔法少女山田』はどこで観られる?

『魔法少女山田』はYouTubeおよびU-NEXTで全作品を視聴可能です。
U-NEXTではそのほかのTXQシリーズ作品も全て観られるため、フェイクドキュメンタリー系のホラーが好きな人にはかなりおすすめ。

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第1話のあらすじと考察

画像:TXQ FICTION 公式X

第1話のあらすじ

第1話のあらすじ
冒頭

路上を走る人物の主観映像から始まる。怪我をしているのか右手に血がついているのが見える。誰かから逃亡中?

取材

場面が変わり、テレビスタッフ?らしき人物が「貝塚陽太」という若い男性に「唄うと死ぬ歌」について電話取材をしている。

「取材する前は何も知らずに生きてきた」
「知ったからにはもう戻れない」
「何があったかかは一言では説明が難しい」
といった話ぶりから、何かしらのよからぬ出来事に関わりがあるらしい。

貝塚さんが「唄うと死ぬ歌」を初めて聴いたのは一般的なラジオ番組。
しかし貝塚さんはラジオで初めて聴くはずのその歌のメロディーも歌詞も覚えており、「小さい頃に覚えたのではないか」と考えている。
現在「唄うと死ぬ歌」として流行っているものを、なぜか自分が覚えているのは気味が悪いと語る。

「唄うと死ぬ歌」

ラジオで紹介された「唄うと死ぬ歌」とされる音源は、子供たちと一人の成人男性?が合唱しているもの。
意外にもメロディーは優しく歌詞も前向きで、「逃げちゃダメだよ」「負けちゃダメだよ」と誰かを鼓舞するような応援ソングに聴こえる。
ただ、曲の終盤でなにか大きな音が聴こえ、次第に子供達の声が消えて男性1名で歌い続けて終了する。

作者や歌い手、録音された時期は一切不明で、音源の出所も不明。
2010年ごろからネット上で存在が囁かれ始め、2023年以降にSNSで徐々に注目を集めたという。

ちょっとしたネットミーム化しているようで、SNS上では替え歌や演奏、中にはそのまま歌っている人もいる。
「唄うと死ぬ」はあくまで都市伝説的な扱いの様子です。

魔法少女に怯える妹

貝塚さんが「唄うと死ぬ歌」を知ってしばらく後、とあるサブスク配信を観ていると自分以外にも「唄うと死ぬ歌」を覚えている人がいて驚いたという。

その番組は街ゆく人の心配ごとを解決するという番組で、その中で「19歳の妹(萌花さん)が魔法少女モノを異常に怖がって心配だ」という女性が紹介されていた。
いわく、「理由は本人もよくわからないけどとにかく怖い」「ハリーポッターなどの魔法使い物は大丈夫」とのこと。
プリキュアやセーラームーンのような”魔法少女モノ”がとにかくダメらしい。

番組の中では萌花さんのお宅をお笑い芸人トム・ブラウンが訪れて、段階的に魔法少女のコスプレをすることでどこから怖がるのか検証。
魔法少女系の衣装だけなら問題なかったが、目の大きい魔法少女系のマスクをした途端怖がるようになることが判明した。

催眠術による改善か可能かを試したところ、見事催眠によって萌花さんが魔法少女恐怖症を克服した様子が収められていたが、その際催眠に掛かった萌花さんが小さく口ずさんでいたのがあの「唄うと死ぬ歌」のメロディーだったと貝塚さんは語る。

ネットミーム化していたので歌を知っていること自体はさほど不自然ではないかもしれないが、貝塚さんはこの番組を見て、「もし自分以外にもこの歌を覚えている人がいるとしたら」と考えて怖くなったという。

貝塚さんが「唄うと死ぬ歌」について調べを進めると、とあるブログで「唄うと死ぬ歌」の元ネタが収録されている『魔法少女おじさん』という1本の自主制作映画が紹介されているのを発見する。
自主制作映画ゆえに全く入手することができず、最終的にブログの投稿主に連絡してディスクを送ってもらうことができた。

第1話時点での考察

正直なところ、第1話時点では謎が多すぎて考察できる内容は少なめ。
ひとまず1話時点での謎についておおまかに整理しておこうと思います。

第1話の謎
  • 冒頭の走っている人物は誰?どんな状況?
  • 貝塚さんが「知ってしまった」と語った出来事はなんのことなのか?
  • あの歌を作ったのは誰なのか?
  • あの歌がなぜ「唄うと死ぬ」という曰くがついたのか?
  • 萌花さんが魔法少女を怖がるようになった理由は?

ここからは私のざっくり考察というか雑感をざっと挙げておきます。

  • 「逃げちゃダメだよ」「負けちゃダメだよ」の歌詞は確かに鼓舞するニュアンスの歌詞ですが、いま辛い思いをしている人にとっては逆に追い込まれるような押し付けがましい歌詞にも感じます。(私だけ?)
  • 歌詞を掲載しているサイトを見ると「翼を広げて」「飛び立とう」といった歌詞も。
    ありがちな歌詞っぽいけど飛び降り自◯の暗喩っぽくも感じる。
  • 萌花さんがネットミーム化したあの歌を知っていること自体はあまり違和感がないが、催眠状態のボーッとした中で口ずさんだということは「深層心理に焼き付いている歌」的なことを示唆しているような気もします。
    過去にあの歌にまつわる出来事に巻き込まれて魔法少女恐怖症になった可能性?
  • 『イシナガキクエを探しています』や『飯沼一家に謝罪します』など、TXQシリーズは最後まで観るとタイトルの意味が変わる系のギミックがあるので、『魔法少女山田』というタイトルにも何か意味がありそうな気がしますね。
  • 最後に出てきた自主制作映画『魔法少女おじさん』のパッケージ裏には、魔法少女おじさんの名前として「山田正一郎」という名前が掲載されていたので、この人が「魔法少女山田」なのでしょうか。

第1話時点での筆者の感想

「◯◯したら死ぬ」みたいなオカルト話ってチェーンメールだったり呪いのビデオだったりいつの時代もありますよね。
それが本作はSNSでミーム化している歌ってのが現代っぽいなと感じます。

そのオカルトミームのルーツを探っていくお話で、全体的になんとも言えない不穏さがあるものの1話時点では謎部分が多くてまだまだこれからって感じ。

劇中のバラエティ番組に、トム・ブラウンが本人役で出てきたのがびっくりで、番組自体も普通にありそうなくらいめちゃくちゃ作り込まれてるのでかなりリアリティが高く感じました。
トムブラウンの魔法少女コスが一番怖かった…

と思っていたら最後に『魔法少女おじさん』とかいう特級呪物みたいな自主制作映画が出てきまして、2話からかなり物語の核心に入っていきそうな雰囲気です。

第2話のあらすじと考察

画像:TXQ FICTION 公式X

第2話のあらすじ

第2話のあらすじ

第2話は、1話の最後に登場した自主制作映画『魔法少女おじさん』の内容が主です。
監督は三田愛子さん。映像の冒頭では、「アジア・セル・ドキュメンタリー映画祭2010」にて「視点の扉」部門でグランプリを獲った旨が紹介されています。

魔法少女おじさんについて

映画は三田愛子監督が山田さんに密着取材する様子が描かれている。

山田正一郎さん(41歳)は、◯コニコ生放送にて魔法少女のコスプレをしながら『ヤマダの魔法教室』という子供向けに勉強を教える配信活動をしていた。
コスプレと言ってもおじさんが魔法少女っぽい服とカツラを被っただけの簡素な物だが、視聴者は毎回30人前後おり、コメント欄も温かな雰囲気。
もともとは普通の格好で配信していたが、視聴者を集めるために魔法少女のコスプレを始めたという。

山田さんは以前教員だったが、いじめられている教え子を守るためにいじめっ子の家に夜中に説教しに突撃したことをきっかけに職場にいづらくなり、退職に至ったとのこと。
現在は清掃会社でアルバイトをしながら生計を立てており、同僚も魔法少女の活動については知っている。

密着取材の様子

簡素なコスプレながら魔法少女としてのキャラ作りには気を遣っているようで、配信の時にはきちんとメイクをしたり、日頃から配信に使えそうな気づきをメモしたり、配信の決め台詞などを考えるインスピレーションを得るために実際に魔法少女モノのアニメを鑑賞していた。
ただおじさんの声で決め台詞を言ってもどうしても違和感が出るため、ICレコーダーに自分の声を録音しながら練習しているようだ。

教員時代に学校に来れなくなった女の子のために家庭訪問して勉強を教えていた時期があったそうだが、男である山田さんが頻繁に女の子の家を訪れることに親御さんからクレームが入り、家庭訪問が禁止になってしまったエピソードが語られます。
この経験から、山田さんの配信はアーカイブでいつでも見返せるような状態にしているとのこと。

山田さんと離婚した元妻

場面が変わり、山田さんが子供用のおもちゃを買いに行くシーンに変わります。
実は山田さんには離婚した妻と娘がおり、この日は娘の誕生日のためプレゼントを持って会いに行くとのこと。
娘さんはもともと魔法少女が好きらしく、「娘が魔法少女の活動を喜んでくれるといいな」と話す山田さんの顔は娘に会える期待に満ちていました。

山田さんが元妻の家を訪ねる様子を遠くからカメラで追う三田監督。
しかしドアから出てきたのは大柄な中年男性で、なにやら話している様子。

ドアを閉め、放心した顔で戻ってきた山田さんは一言「引っ越してました」とだけ言い残してその場を後にします。

山田さんの再起

娘の誕生日の出来事から1週間。
山田さんは徐々に元気を取り戻しており、新しい取り組みを始めていました。
放課後の学童保育と、学校に来れない子供たちに無償で勉強を教えるという試みです。

ここの説明の背景で、山田さんが歌を作っている様子が流れます。
短いシーンでしたが、メロディなど感じからここで作られていたのが「唄うと死ぬ歌」の原曲のようです。

今まで素顔で配信活動をしていましたが今回は対面形式での授業なため、子供たちに一目で「魔法の国からきた」というコンセプトが伝わるように、魔法少女のマスクを被るといいます。
初見ではあまりのインパクトにギョッとしていた子供達であったが、もともと教員で勉強の教え方自体は上手かった山田さんの授業は徐々に子供達にも受け入れられていきました。

居酒屋でのワンシーン

山田さんが友人と三田監督と一緒に居酒屋で会食するシーンがありました。

山田さんは小学3年生の時にクラスに馴染めず孤立していたが、そんなとき優しい先生の存在に救われて教員の道を志したという。

このシーンで三田監督の姿が初めて明らかになります。
肩くらいの黒髪で、20代から30代前半くらいの若い女性に見えました。

このシーンでは、山田さんの飲み仲間である中西さんが気になる発言をしていました。
「(山田)先生ね、子供が怖いんだよ実は」「怖いと思ってるから、教育の枠にはめようとしちゃう」と。

山田さんはそんなことないと否定しており、真偽は定かではありませんでした。

山田さんの転換

魔法少女のマスクを被り活動を続ける山田さん。
「マジカルレッスン」と題して、子供たちに道徳の授業をする山田さんの様子が映されるが、話が難しいためかいまいち子供達の反応は良くありませんでした。

「子供に大事なことを伝えるのは難しいですね」と苦労を吐露する山田さん。
そんな山田さんは、心が倒れそうになった時に必ず訪れる場所があるといいます。
日本有数のパワースポット高尾山です。

山頂で山田さんは、活動を辞める決心を語りました。
「教育の現場にいないとなにもできない」といいます。
そして、ふたたび教員採用試験を受けるために2ヶ月後の試験本番に向けて勉強を始めました。

教員採用試験の失敗

山田さんから見た監督の元に、教員採用試験に落ちた旨の連絡がありました。

三田監督が山田さんの家を訪れると、玄関の鍵もかけずに真っ暗な部屋の中で山田さんが寝ていました。

「諦めるみたいな感じですかね」と山田さんに声をかける三田監督。
今まで話していたことと辻褄を合わせるために「「諦めてもいいよ」みたいなコメントをお願いできますか」とお願いしたが、社交的だった山田さんの口数は少ない。

三田監督が子供達から預かったという手紙を山田さんに手渡します。
手紙には、山田さんの授業が楽しかったこと、道徳の授業は難しかったけど心に残った部分もあること、次回の授業を楽しみにしているといった内容が。
山田さんは少し嬉しそうな表情で手紙を見つめていました。

魔法少女の復活

それからしばらくして、三田監督のもとに山田さんから久しぶりに生放送を行うという連絡がありました。

そこには魔法少女のマスクをかぶって従来のテンションで「山田の魔法教室」を行う山田さんの姿が。

配信画面を映しながら、山田監督のナレーションで映画は幕を閉じます。

場面は再び貝塚さんのインタビューに

映画が終わり、場面は再び貝塚さんの電話インタビューに戻ります。

歌の元ネタが映画『魔法少女おじさん』であることがわかった貝塚さんでしたが、なぜ自分がその歌を覚えているのかは分からないまま。
そこで貝塚さんは三田監督にSNSで連絡をとったところ、追悼上映会の映像が送られてきたと言います。

追悼上映会は山田正一郎さんのために2011年に行われたモノで、このことから2011年時点で山田さんは亡くなっていることが判明します。
TV番組のセットのようなでは三田監督が山田さんが持っていたICレコーダーを持っており、歌が完成した旨を話していた。
山田さんが作った歌をスタジオ全員で聴く様子で第2話が締めくくられる。

第2話時点での考察

かなりいろいろな情報が出てきつつも、まだまだ多くの謎が残ったままの第2話でした。

ここからは、私が気になったことや考察について整理していきます。

歌の制作者が明らかに

2話で明らかになったこととしては「唄うと死ぬ歌」の大元を作ったのは『魔法少女おじさん』に主演であった山田正一郎さんであるということ。
劇中に山田さんがメモしていた歌詞や口ずさんでいたメロディからこれは間違いないと考えられます。

最後の追悼上映会での見た監督のセリフに若干引っかかる部分があり、三田監督は「完成しまして」と言っていましたがテロップでは「完成していて」となっていました。

捉えようによっては、山田さんが歌を完成させていたのか、それとも山田さんの死後に第三者が介入して完成させたのか、意味合いが真逆になるので意図的に含みを持たせているのかも?と感じました。

密着取材を行なっていたとはいえ、三田監督がなぜ山田さんの私物であるICレコーダーを持っていたことも引っかかります。

追悼上映会で流された音源は、第1話で流れたものとは異なり山田さんが一人が歌っているものでした。

つまり、1話のラジオで流れた合唱バージョンは、この音源に合わせて子供たちが合唱していたものと考察できます。
子供たちがなんらかの理由でピタッと歌うのを辞め、音源だけが最後まで流れた?といった様子が想像できますが、そうなるとこれを収録したシチュエーション自体になにか裏がありそうです。

劇中の出来事の時系列について

おそらく「魔法少女おじさん」の出来事は三田監督によって時系列が意図的に入れ替えられているように感じます。

この映画が公開されたのは2010年ですが、劇中の日付から撮影されたのは2009年と読み取れます。
劇中に出てくる日付や登場人物の服装、背景などを考慮すると、明らかに時系列がおかしい場面が複数あります。

劇中で明示されている日付などをもとに、本来の時系列に整理してみました。
日付不明なシーンは多少ガバがあるかもしれませんが、太字部分はほぼ間違いないと思います。

『魔法少女おじさん』劇中での時系列

  • 密着取材開始(冒頭の配信シーンの日付が2009年2月3日のためその前後?三田監督の服装などとも合致)
  • 元妻と娘の引越し(日付不明、服装的に秋〜冬?)
  • マスクでの対面授業開始(2009年3月21日)
  • 居酒屋のワンシーン(日付不明、春にしては厚着で違和感。秋っぽい)
  • 道徳のマジカルレッスン(2009年4月2日)
  • 高尾山(日付不明、山の様子的に秋っぽい)
  • 教員採用試験の勉強開始(2009年5月ごろ?)
  • 教員採用試験 二次試験当日(日付不明 おそらく8月ごろ)
  • 教員採用試験の不合格連絡(2009年9月20日)
  • 三田の突撃、子供からの手紙(日付不明)
  • 『山田の魔法教室』配信復活(2009年11月24日)

本来の時系列(推測)

  • 密着取材開始(冒頭の配信シーンの日付が2009年2月3日のためその前後?三田監督の服装などとも合致)
  • マスクでの対面授業開始(2009年3月21日)
  • 道徳のマジカルレッスン(2009年4月2日)
  • 教員採用試験の勉強開始(2009年5月ごろ)
  • 教員採用試験 二次試験当日(日付不明 おそらく8月ごろ)
  • 居酒屋のワンシーン(日付不明、春にしては厚着で違和感。秋っぽい)
  • 教員採用試験の不合格連絡(2009年9月20日)
  • 高尾山(日付不明、山の様子的に秋っぽい)
  • 元妻と娘の引越し(日付不明、服装的に秋〜冬?)
  • 三田の突撃、子供からの手紙(日付不明)
  • 『山田の魔法教室』配信復活(2009年11月24日

実際に起こった出来事としては、
対面でのマジカルレッスンに手応えを感じられなかった山田さんが再度教職の道を志すも、教員採用試験に落ちてしまい絶望、そこに妻と子供が密かに引越しして会えなくなってしまった

という流れが本当ではないか私は推測しています。

妻子が引っ越してしまったのは山田さんがコートを着ていたことから、寒くなった秋か冬ごろの出来事。
取材開始が2月前後でその少し後のシーンだったため映画通りの時系列でもギリ納得できる季節感です。

しかし実際、会うことを楽しみにしていた娘が自分を置いて引っ越してしまうって相当ショッキングな出来事だと思いませんか?
山田さんの話し振りを聞いていても、娘に会うことをかなり楽しみにしていた様子でした。
とても1週間そこらで元気を取り戻せるとは思えません…

この密着取材が2009年の9〜11月頃まで続いていたことを考えると、実は妻子が引っ越したのが2009年の秋か冬ごろの出来事だとしても生合成が取れます。
そして山田さんが妻子に会えなくなったことに絶望して魔法少女の活動を辞めたと考えても違和感はありません。

ほかにも高尾山で山田さんが「教育の現場にいないと何もできない」と語ったのは、「教職の現場に戻るぞ」という決意表明ではなく、採用試験に落ちたことへの絶望ではないかと考察しています。
服装や山の風景的にも、登山したのは秋のように見えました。

この考察が正しかった場合、三田監督は山田さんの絶望の物語を美談のような形に事実を捻じ曲げて映画化したということになります。

後述しますが、最後に復活した『山田の魔法教室』に出演しているのは山田さんではありません
たぶん三田監督です。

復活配信の魔法少女が「山田さんではない」理由

映画の最後では山田さんが再起して魔法少女のコスプレでの配信を再開する様子で締めくくられていました。

しかし、あの青髪の魔法少女は山田さんではありません。
おそらく三田監督が成り代わっています。

ざっと根拠を挙げると以下の通り。

  • 配信タイトルが『ヤマダの魔法教室』から『山田の魔法教室』に変わっている。表記揺れに違和感。
  • 配信は顔出しで行っていたが、復活後はマスクを被っている
  • 衣装のテイストが大きく変わり、妙に可愛くなっている。
  • (最大の根拠)青いウィッグの裏に長めの黒髪が見える

ではなぜ三田監督が山田さんに成り代わって生配信を行ったのか?

私は今の段階では

山田さんが魔法少女活動を辞めてしまったこと(自◯してしまった可能性もある?)で、映画の結末を撮れなくなってしまい、結末を捏造するために魔法少女に成り代わった。

と考察しています。

劇中で三田監督は意気消沈する山田さんに「辻褄合わないんでこんなコメントもらえますか」と映画の整合性を気にして明らかに空気の読めていないお願いをするシーンがありました。
山田さんの心情よりも、自分の映画の制作を優先している描写と取ることができます。

自身の映画を完成させたい目的で、かなり冒涜的な「魔法少女の成り変わり」というエンディングをしたのではないでしょうか。
ここまで三田さんがこの映画に情熱を注いでいる理由はわかりませんが…

1話冒頭の走っている人物は三田監督?

1話の冒頭の誰かが路上を走って逃げている(?)シーンでは、走っている人物の黒い袖口が見えていました。
居酒屋のシーンで三田監督が似たような黒いパーカーを着ており、1話冒頭の走っている人物は三田監督の可能性があります。

なぜ走っているのか、なぜ右手に血がついている?のかは不明ですが、先ほどの魔法少女なり代わりの可能性が高いことからも、なにかしら密着取材の終盤で山田さんと揉めた可能性が考えられます。

山田さんの歌を完成させたのは三田監督の可能性?

第2話の最後では山田さんの追悼上映会の映像で締めくくられており、その中で三田監督が「山田さんが作っていた歌ができました(できていた)」と話していました。

ここで流された曲は冒頭と最後の一部のみでしたが、第1話のラジオで流れたものと同じ歌詞、メロディに思えました。
歌っているのは声質的に山田さんで間違いなさそうです。

ここで気になったのは曲の歌詞

第2話の中で山田さんが作詞作曲している時のメモには、「あきらめないで」や「頂上目指して」などの鼓舞するワード以外にも「時々ゴロ寝して」や「勉強もいいけど」といった「たまには甘えてもいいさ」的なフレーズも散見されました。

しかし第1話でWEBサイトに掲載された歌詞ではそういった要素は無くなっているため、曲には反映されていないようです。

もともと山田さん自身、小学校時代にクラスに馴染めなかった時に「優しく受け入れてくれる先生」がいたことに影響されて教職の道を志した過去があります。
本当に山田さんがこの歌を最後まで制作したならば、これらのフレーズが反映されていないことには違和感があります。

とはいえ歌っているのは声的には山田さんで間違いないように感じます。

考えられる可能性としては、「歌を完成させる気力を失った山田さんの代わりに三田監督が勝手に歌を編集して完成させ、生前の山田さんに歌わせた」といったところでしょうか。

歌を完成させた目的としては、自分の映画のエピローグとして歌が完成したエピソードトークをするため?
この辺りはまだ謎が多いですね。

ちょっと気になるのがこの歌が認知され始めた時期。

第1話のラジオ番組ではこの歌がネット上で徐々に広まり出したのは2010年頃と説明されていました。
しかし第2話の追悼上映会が開催されたのは2011年4月で、この時三田監督が「完成しました」という旨の発言をしています。
2010年「頃」と幅があるとはいえ、ちょっと時期が食い違っているように感じます。気にしすぎ?

この歌がどういう経緯で「唄うと死ぬ歌」として広まったのかは謎ですが、大元の制作者である山田さんが亡くなっている背景が何かしら湾曲して伝えられた…といったところでしょうか…
この辺りは第3話で明らかになってくれることを祈りましょう。

山田さんの死因は?

2011年4月に山田さんの追悼上映会が行われていたことから、山田さんはそれ以前に亡くなっています。
2009年11月24日の『山田の魔法教室』復活配信の時点で生きていたかは不明。

詳細な死因については2話時点では推測することしかできませんが、持病があるような描写もなく、一念発起した教員採用試験に落ちたこと、別居中の妻子が知らせなく引っ越してしまったことなど絶望的な出来事が続いたことから、自ら命を絶ってしまった可能性も否定できません。

で、もし山田さんの死因が自殺だった場合、三田監督は山田さんの自殺を知りつつ自宅に侵入して生配信ジャックを行ったり、ICレコーダーを盗んでいた可能性も出てきます。
(山田さんが死んだと公にわかった後はおそらく家が施錠されて入れなくなるので)

配信ジャックを山田さんの生前にやっていた可能性もありますが、それはそれで倫理観ヤバイですよね。

いずれにせよ、山田さんの死の前後で三田監督がかなりヤバイムーブをしているのは間違いなさそうです。

「きらめく魔法の授業」に参加していた子どもたちの中に貝塚さんと萌花さんがいる?

おそらく山田さんの対面授業を受けた子供達の中に、貝塚さんと萌花さんがいたと思われます。

対面授業の最初のシーンで教室に入ってきた姉妹と、3人並んだ男の子の真ん中の子?がおそらくそうかなと。
1話の中で貝塚さんの子供時代と思われる写真が何枚か出ており、似た顔立ちの男の子が魔法教室の中にいました。

教室にいた姉妹に関しても、萌花さん姉妹とよく似ているように感じます。

じゃあ彼らがこの「魔法の授業」の最中になにかしらトラウマを植え付けられたのかと言われると、今のところわかりません。
少なくとも2話時点では、子供たちはそれなりに山田さんの授業を楽しんでいる様子でした(あくまで映画の描写の範囲ではですが)

貝塚さんや萌花さんが山田さんが作った「唄うと死ぬ歌」を聴いたり歌ったりしたようなシーンもなく、歌との接点は依然不明です。

第2話時点での筆者の感想

2話で「唄うと死ぬ歌」のルーツがおおよそわかったものの、肝心な貝塚さんたちとの接点までは明らかになりませんでした。
物語の核心は最終話である第3話まで持ち越しといった感じです。

いやー山田さん、かなりパンチの効いたキャラでした。
人柄としてはすごく優しくて、真面目で、良い人なのですが、あちこち「一般的な感覚とズレている感」が見られました。

「視聴者を集めたいから魔法少女のコスプレしよう」とか「(娘が)魔法少女の活動をよろこんでくれるかな」とか、「魔法少女のマスクかぶって授業しよう」とか、客観的に見ると普通引かれるよねというムーブを善意100%でやってしまうのが見ていて苦しいというか切ないというか…

小学校時代孤立していた話とか、教員時代に居づらさを感じた話とか、なんとなく周囲のリアクションが想像できてしまいます。
先生としての教える力はかなり高い人な気がするので、教員辞めた後もそのまま真っ当な姿で授業配信していればまた違った結末になっていた気がします…

そして三田愛子監督。
人となりが掴めないながらも相当きな臭い感じがする人物です。

なぜ魔法少女配信をジャックしたのか、そもそもなぜ山田さんを映画にしようと思ったのか、1話冒頭のシーンは本当に三田監督なのか…

かなり謎大き人物ですが、3話で明らかになることに期待しましょう。

第3話(最終回)のあらすじと考察

画像:TXQ FICTION 公式X

第3話(最終回)のあらすじ

第3話(最終回)のあらすじ
追悼上映会の様子

第2話の最後で流れた追悼上映会の様子から始まります。

映画の後日談として、山田さんが心不全で亡くなったこと、三田監督に連絡があり遺品など全て三田監督が引き取ったことが語られました。
山田さんは小学校の先生には戻れなかったものの、実はあの後幼稚園の事務員として就職していたことが明らかになりました。
三田監督いわく、「魔法少女おじさん第2弾やろう」と連絡もあったとのこと。

追悼上映会では山田さんの遺品であるICレコーダーを紹介しており、
「魔法が使えるかもしれない」
「子供たちに魔法をかけるんだよ」
「まだ方法はわからないけど 使える気がするんだ」
といった山田さんの肉声を観客に披露しています。

そこからシーンは2話の最後でも流れた山田さんの歌のシーンに繋がります。

貝塚さんが三田監督を取材するシーン

貝塚さんは三田愛子監督と直接会って取材をしていました。

三田監督は「唄うと死ぬ歌」の存在は知らず、貝塚さんからの連絡をきっかけに知ったとのこと。
ネット上で広まっている音源の流出元についても、三田監督が持っている音源は山田さんの声のみが吹き込まれたもので、ネット上のものは子供たちの声が入っているので心当たりがないといいます。

ネット上の音源について、貝塚さんは「幼稚園で録られたもの」と考えていました。
三田監督に山田さんが最期に勤めていた幼稚園を覚えているか尋ねると、貝塚さんが通っていた幼稚園と同じ幼稚園の名が明かされます。
貝塚さん曰く、幼少期の貝塚さんと山田さんは会ったことがある可能性が高いとのこと。
しかし、山田さんは当時あくまで事務員であり、正式な教員ではなかったためかアルバムに写っていませんでした。

貝塚さんの旧幼稚園訪問

貝塚さんが通っていた幼稚園は10年以上前に閉園していましたが、建物はまだ残っており倉庫として使われていました。
貝塚さんはその旧幼稚園に侵入(?)して中の様子をカメラに収めます。
教室内を見て周り、どこか懐かしい感覚を覚える貝塚さん。

悩んだ結果、バラエティ番組で催眠術を受けていた萌花さんの住所を調べて会いに行くことに。

萌花さんの自宅訪問

貝塚さんは萌花さんと会うことはできたものの、萌花さんは歌のことについて話したがりません。
どうやら貝塚さん以外にも、あの歌のことで尋ねてきた人が何人かいるようです。
「言えることはない」「催眠術のときに思い出したことがあるけど、知らない方がいい」と会話を濁す萌花さん。

結局そのまま家の中に戻ってしまい、話を聞くことはできませんでした。

「知らない方がいい」と言われたことで一層不安になった貝塚さん。

編集者のYouTubeチャンネル

作家と編集の裏話に関するYouTubeチャンネルにて、編集長がライトノベル作家になる方法について語っているシーン。
その中で「よくない作品ってどんな作品?」という問いに対し、編集長が「ジャンルを理解していない作家さんはよくない」と語っていました。
「ラブコメなのにひたすらイチャイチャしているとか」「魔法少女モノなのに子供の前でただ歌って踊るだけとか」と語る編集長。

この動画を見た貝塚さんがライトノベルの投稿サイトを漁ってみたところ”魔法少女が子供たちの前で歌って空を飛ぶ”という作品がありました。
その中で登場する歌の歌詞はまさに「唄うと死ぬ歌」そのもの。
その作者は他に何作品か投稿していましたが、全て同じタイトル、同じ内容でした。

このラノベ投稿者も、貝塚さんと同じ幼稚園にいたこどもの一人ではないかと貝塚さんは推測します。

幼稚園の元園長を取材

貝塚さんは幼稚園の元園長先生の家を訪ねます。
先生に山田さんの死因について訪ねますが、園長は「心不全だった」の一点張りで詳しく語ろうとしません。

「本当は心不全ではないですよね?」と執拗に食い下がる貝塚さん。
それでも心不全であることを主張する園長先生に対し、貝塚さんは突如激昂。
暴行を加えて(?)うずくまる園長を尻目にその場を逃走します。

貝塚さんのインタビュー

その後のナレーションで、貝塚さんは三田監督から園長先生の家の住所を教えてもらったことが語られます。
貝塚さんはインタビュアーに「山田さんは心臓を悪くしたわけではなかった」と報告し、自◯のことについて情報提供者の詳細を伏せた上で一つの映像を送った。

ここで、インタビュアーから貝塚さんに「これ、ドキュメンタリー映画として公開してもいいですか?」と訪ねられる。
貝塚さんは「はい、あとはお任せします」と承諾し、エンドクレジットが挿入される。

エンドクレジットには『魔法少女おじさん〜第2章〜』「監督・撮影・編集・構成 三田愛子」の文字があった。

Cパート 山田さん自◯の瞬間

エンドクレジット終了後、幼稚園の廊下を撮影した監視カメラと思しき映像が流れる。
日付は2010年9月17日。

山田さんが教室から出て廊下の奥に消え、しばらくして青い衣装の魔法少女の姿で教室に戻ってくる。
左手にはロープのようなものを持っているように見える。

「今日はとっても大事な授業をします」
「私の最後の授業です」
「じゃ、みんなでいつものお歌を歌いましょう」

子供達と山田さんの歌声が聞こえる。
それはまさに第1話のラジオ番組で流れていた「唄うと死ぬ歌」そのものだった。

歌の終盤、ガタンという音がすると次第に子供達の声がなくなり、山田さんの歌声だけが響き続けていた。

第3話(最終回)時点での考察

まさかの本作こそが『魔法少女おじさん 第2章』だった

最大の驚愕ポイントがこれ。
この『魔法少女山田』という作品こそが『魔法少女おじさん〜第2章〜』であり、三田愛子監督が作ったモキュメンタリー作品だったのです。

第1話から貝塚さんにインタビューしていたのは第三者的なインタビュアーかと思っていましたが実は三田愛子監督で、「唄うと死ぬ歌」、言い換えるなら魔法少女の呪いに取り憑かれてしまった貝塚さんを主人公として三田監督が制作したモキュメンタリーだったということになります。

第3話の終盤で「これ作品にしてもいいですか?」のセリフで急にインタビュアーに自我が宿ってまじでゾワッとしましたよ…
全部お前がやってたんかいって…

本作におけるインタビュー(三田監督)はいわゆる「信用できない語り手」というやつで、
物語を俯瞰して語っている中立な語り手のように見えて、実は自分の都合の良いように物語を改変できる立場にある語り手ということ。

『魔法少女山田』は全編に渡って三田愛子が介入していると考えられるため、何が事実で、何が嘘・演出なのか、映像から判別するのが非常に難しくなっています。

なのでぶっちゃけ、考察があまり意味を為さないかも…
だって全部三田愛子が誘導してる可能性もあるんだもん…

考察キラーも大概にしろ…
いやとんでもねぇことやってくれたな三田愛子…

もりけぇ

それでも私は考察するぞ…

もう一つの意味合いとして、「ドキュメンタリー番組なんて編集側の思惑次第でいくらでも事実関係を捻じ曲げられるんだぞ」という、現実のドキュメンタリー番組自体に対する皮肉のようなものが込められているようにも思えます。

人生をエンタメとして消費するおぞましさを描いた物語

考察というか感想に近いですが、3話を見終わった後にYouTubeやSNSのコメント、考察を読んでいてしっくりきた表現がこれ。

本作は、山田さんや貝塚さんのように人生の中で苦しみを抱えてもがきながら生きている人の様子を「作品」という名目でエンタメとして消費することのおぞましさ、無意識的な倫理観の欠如が一つのテーマになっているように感じます。

三田愛子監督は、周囲から孤立する山田さんを取材し、おそらく時系列なども自分の都合の良いようにいじくり回して作品化しています。
まさに山田さんの人生への冒涜に他なりません。
後述しますが、おそらく貝塚さんのことも巧みに操って彼が過去のトラウマの正体にたどり着くよう誘導したように私は感じています。

ストーリーを追うごとに嫌でも三田監督に対する嫌悪感が募っていく流れになっていますが、いざ蓋を開けてみるとこの作品自体も三田監督の制作物で、私たちはそんなことも知らずに毎週の放送を楽しんでいた…という超絶皮肉な仕掛けになっているわけです。
あー書いてて嫌になってきた…

「唄うと死ぬ歌」の正体と歌を覚えていた理由

「唄うと死ぬ歌」のルーツは物語の最後で明らかになりました。

第3話の最後のシーンを見るに、「唄うと死ぬ歌」の大元の音声ファイルは幼稚園の廊下の監視カメラで撮影された映像から抽出されたものと考えられます。
その映像では、山田さんが作った歌を死の間際に当時勤めていた幼稚園で子供たちと一緒に歌っていました。

第3話で貝塚さんが旧幼稚園を訪れるシーンや、エンドクレジット後のシーンを見るに、山田さんは幼稚園の教室内で子供たちと歌を歌っている途中に自ら首を吊って亡くなったことが示唆されています。

そしてこの教室には幼い貝塚さんと萌花さんがいたと考えられ、目の前で魔法少女の格好をした山田さんが自ら命を絶ったことが強烈なトラウマとなり、脳が防衛本能的にその時の記憶を消していたのでしょう。
萌花さんはこの出来事をきっかけに魔法少女恐怖症になり、歌の記憶だけ意識の深いところに残っていた、といった感じだと思います。

曲の終盤、ガタンと言う音とともに子供達が歌うのを止め、山田さんの歌声のみが聞こえていました。
これは、ICレコーダーに残されていた山田さんの録音を流しながら子供達が歌っており、山田さんが踏み台を蹴ったタイミングで子供達が困惑して歌うのを止めた、ということでしょう。

山田さんの自◯の証拠を示すように、貝塚さんが旧幼稚園を訪れた時に撮ったと思しき映像には、教室の天井に梁があり、縄を結んだような縦方向の黒い筋が見えました…怖すぎるって…

「唄うと死ぬ歌」というのは「この歌を歌った人間が死ぬ」ではなく「これから死ぬ人間が唄っていた歌」であると…そう言う意味かよ…

キービジュアルも最終話後に見返すとまるで首を◯っているかのような…

ちなみにですがおそらく萌花さんは番組の催眠術をきっかけに当時の記憶を思い出したのだと考えられます。
第1話で催眠術が解かれた場面では、意味ありげに上を見上げている瞬間がありました。
貝塚さんが家を訪れた時に「知らない方がいい」と断っていたのも、山田さんが自◯した当時の記憶を具体的に思い出していたからだと考えられます。

「唄うと死ぬ歌」を流出させた人間がいる

第2話の時点で私はこのように考察していました。

この歌がネット上で話題になり始めたのが2010年ごろ、山田さんの追悼上映会で歌が披露されたのが2011年なので若干のタイムラグがある

山田さんが亡くなった2010年時点で、すでに「唄うと死ぬ歌」はネット上に存在したということです。

そもそも「唄うと死ぬ歌」の音源は幼稚園の監視カメラです。
アクセスできる人間はそう多くなく、よほど意図的に操作しないとネット上に流出することはありません。
幼稚園の延長や教員などの関係者がわざわざ面白半分でネットに流すとも思えません。

この音源をネットに流しそうな人物はただ一人。そう、三田愛子監督です。
劇中で明確な証拠は出てきていませんが、もろもろの状況を考慮すると十分あり得ると思います。

三田監督は山田さんの死後、遺品を全て引き取るなど、身元引受人的な立場にあったことが明かされています。
その立場を利用して、「山田さんの死の真相を知りたい」などの理由をつけて当時の園長など幼稚園関係者にテープの原本やコピーをもらうことは十分可能だと思います。

山田さんが自殺したのは2010年9月17日。
山田さんの死亡から間もない頃に音源をネット上に流出させたと考えると、「2010年ごろからネット上で話題になっていた」という事実とも辻褄が合います。

ではなぜ三田監督がそんなことをするのか。

これは正直私にも分かりません。
ひとまず、明らかに2010年にネット上に音源を流出させた人物がいると言う事実に対して、現状では三田愛子監督がやったと考えるのが最も自然なわけです。

個人的に理由を推測するなら、後々山田さんの歌を伝って『魔法少女おじさん』が話題になることを狙っての伏線張りだったのではないかなと。
実際、貝塚さんはネットミーム化した「唄うと死ぬ歌」を調べる中で『魔法少女おじさん』の存在に辿り着いたわけですから。他者の人生を冒涜的に扱ってでも自分の作りたいように素材を扱う三田監督のスタンスを考えると、あり得る話かなーと思います。

ちなみに第3話で貝塚さんに山田さん自〇の映像を提供したのも、唯一映像を映像を持っていたと思われる三田監督と考えられます。
というか他に考えられる人がいないんですよね。

貝塚さんに幼稚園の監視カメラ映像を提供したのは誰?

これは三田愛子監督の可能性が最も高いと考えています。

第3話で貝塚さんは山田さん自◯の真相について、「ある人から映像を提供してもらった」と話していました。
ここでは情報提供者の詳細は伏せられており、貝塚さんは提供元を明かしていません。

しかし前述のとおり、幼稚園の監視カメラ映像を入手できる人間がかなり限られること、貝塚さんにわざわざ提供する動機や理由がある人物といえば、消去法的に三田監督しかいないんですよね。

「幼稚園の園長を尋問したときに監視カメラの映像を奪い取ったのでは?強奪したから貝塚さんは映像の出所を教えたくなかった?」という説も考えましたが、園長宅でのシーンを観るにテープなどを強奪したと考えられるような要素はありませんでした。
山田さん自◯の真相を徹底的に隠していた園長がわざわざそんなテープを保存しておく理由は無いように思います。
幼稚園も閉園したことですし、さっさと処分しているほうが自然です。

どちらかと言うと、三田監督から映像を提供た貝塚さんは山田さん自◯の真相をあらかじめ知った上で園長宅を訪れており、その上で園長が山田さんの自◯の真実をかたくなに語ろうとしなかったから激昂した…という流れで考えた方がしっくりきます。

「魔法少女おじさん」後の山田さんの動向

第3話では、『魔法少女おじさん』の後日談として、山田さんが幼稚園の事務員に就職していたことが明らかになりました。
いやーこれはまさかでした。
山田さんは復活配信の前後で亡くなったと早とちりしておりました。

三田愛子のせいで詳細な時系列がまじで分からなくなってきたのですが、おそらく第2話での子供たちからの手紙を読んで再起したような流れなのかなと。
山田さんも手紙読んでる時は嬉しそうに見えましたし…

私は第2話で、2009年11月24日の復活配信は三田監督が成り代わっていると考察していましたが、時系列的にこの時点では山田さんは生きているので三田監督が成り変わることはありえないように思います。
見えていた黒髪も、山田さんの長めの襟足が写っただけ?と言われればそんな気もします。

三田監督が成り替わり配信をして、配信画面の日付をいじっていた可能性(たぶんページのソースコードをいじれば見た目だけ日付を変えることは可能)もゼロではありませんが、存命の山田さんが成り替わり配信を承諾するとも思えないのでこの可能性は低そう。

山田さんは自◯の間際に配信と同じ青い魔法少女のコスチュームを着ていたことから、青い衣装も山田さんの自前と考えられ、復活配信も山田さん本人が行なっていたと考える方が自然そうです。

これらを踏まえて、山田さんの身の回りの時系列を推測しながら今一度整理してみます。

  • 密着取材開始(冒頭の配信シーンの日付が2009年2月3日のためその前後?三田監督の服装などとも合致)
  • マスクでの対面授業開始(2009年3月21日)
  • 道徳のマジカルレッスン(2009年4月2日)
  • 教員採用試験の勉強開始(2009年5月ごろ)
  • 教員採用試験 二次試験当日(日付不明 おそらく8月ごろ)
  • 居酒屋のワンシーン(日付不明、春にしては厚着で違和感。秋っぽい)
  • 教員採用試験の不合格連絡(2009年9月20日)
  • 高尾山(日付不明、山の様子的に秋っぽい)
  • 元妻と娘の引越し(日付不明、服装的に秋〜冬?)
  • 三田の突撃、子供からの手紙(日付不明)
  • 『山田の魔法教室』配信復活(2009年11月24日 たぶん山田さん本人
  • 幼稚園の事務員に就職(映画の後日談)
  • 幼稚園で自ら命を断つ(2010年9月17日)

仮に復活配信後に幼稚園に就職したとすると、1年経たずに自〇に至っていることになります。
それほど山田さんを追い込む出来事があったということなのか、それとも…

山田さんの死の理由は次のセクションで考察します。

なぜ山田さんは自ら命を絶ったのか

山田さんは、第2話の公民館での授業の時から「どうすれば自分の教えが子供達に伝わるか」を考えていました。

山田さん自〇の理由についてもっとも可能性が高い考え方としては、
山田さんは子供達に自分の教えや大事なことを伝えたい一心で、自作の歌と共に「空を飛ぶ魔法」を見せることで子供たちの心に刻み込まれると考えたのではないでしょうか。
結果的に山田さんの目論見はある意味成功し、貝塚さんや萌花さんなど当時その場にいた子供たちは魔法(一生物のトラウマ)を食らってしまったのが最悪レベルに皮肉なのですが…

山田さんの一般的な感覚からの乖離や、「子供のことになると周りが見えなくなる」といった偏執めいた部分は第2話でも随所に描かれていました。
加えて道徳教育の時の、どこか自分の考えを押し付けるような教育姿勢や、飲み仲間の中西さんが語っていた「子供を怖がっている」「怖いから教育の型に嵌めたがる」という言葉も、山田さんが命と引き換えにでも子供達に「教育」を施すという異常な決断につながることを示唆している気がします。

ネット上の考察では、「幼稚園でも人間関係的に孤立しててしまい、それを苦に自殺したのでは」というものもありました。
確かに山田さんの過去エピソードを考慮すると十分ありそうな話ですが、幼稚園の監視カメラの映像を見た限り、子供達は魔法少女の授業を楽しんでいる様子でしたし、教員たちと特段ギスギスしている様子はなかったように感じます。

そのため、あくまで「自分の授業を強烈に子供達に伝える」と言うことが山田さんの自◯の主な理由かなと私は考察しています。

ちなみに幼稚園が閉園したのがストーリーの12年前(2013年)、山田さんの自◯が2010年のため、山田さんの死から児童の受け入れを辞め、3年後に全ての子供達が卒園したタイミングで閉園したのかもしれませんね…

劇中に「ニセモノ」の人物が複数いる可能性がある

私がいまだに少し迷っている考察について話します。

ニセモノの登場人物がいる可能性についてです。

そもそも全編通して三田愛子監督の手が入っているので、もっとニセモノが多い可能性もありますが、最も重要かつニセモノの可能性が高い登場人物が、私が思うに2人います。

それが、第3話に登場した三田愛子監督と幼稚園の園長先生(久野さん)です。

三田愛子監督がニセモノである根拠

第3話に登場した2025年の三田愛子監督はニセモノじゃないかと疑っています。
根拠は複数あります。

  • 顔立ちが全く異なり、推定される年齢より老けて見える
  • エンドクレジットに登場した二人の「三田さん」
  • 貝塚さんはインタビュアーが三田監督であることを知らない可能性がある
三田監督の年齢

まずは三田監督の年齢について、第2話の『魔法少女おじさん』には三田愛子監督が顔出しで出演していました。
ここで三田監督が自分の影武者を出す理由はないので、2話の三田愛子監督は本物だと仮定します。
2話の2009年時点で、三田監督は見た目から20代、高くとも30代前半くらいの年齢に見えました。
第3話は2025年の話なので、この時点で三田監督は30代後半から高くても40代後半くらいと考えられます。

しかし第3話で貝塚さんのインタビューを受けていた三田監督は、顔のしわの感じから50代以上に見えました。
顔立ちも同一人物にしてはだいぶ違うように感じます。

メタい話、キャスティングのせいと言ってしまえばそこまでですが、隅々まで伏線や意図をちりばめているこの作品で登場人物の年齢設定をガバるとは考えにくい気がするので、このミスマッチはなにか意味がありそうだなと感じるところです。

これはかなり私の主観が含まれる根拠なので弱いですが、他にも気になる点があります。

エンドクレジットの二人の「三田」

エンドクレジットのSpecial Thanksの部分には「三田 恵子」「三田 隆」の名前がありました。
三田監督の親族?と考えられます。
仮に三田恵子が三田監督の母親だとすると、年齢的に50~60歳くらいでも違和感がありません。

三田監督は貝塚さんに素性を隠している

三田監督ニセモノ説の最大の根拠がこれ。
おそらく貝塚さんは電話インタビューの相手が三田監督であることを知りません。
三田監督は貝塚さんに素性を隠して電話インタビューしており、貝塚さんとのインタビューでは後々声などで素性がバレないように影武者を送ったのではないかなと。

貝塚さんはインタビュー時のセリフの端々で、相手が三田監督と認識していないのでは?と感じられるセリフが多数ありました。

  • 電話インタビューでは三田監督がすでに知っていると明確な情報を、他者に説明するように報告している
    「例の歌は山田正一郎さんが作ったことが分かりました」
    「三田監督に強引にインタビューをお願いしたので、最初は怪しんだんじゃないかな」など
  • インタビュー相手のことを一度も「三田さん」と呼んでいない
  • おそらく山田さん自〇を収めた監視カメラ映像を貝塚さんに提供したのは三田監督だが、インタビューの時に提供者の素性を伏せている
    (インタビュアーが三田さんだと分かっていればそんな必要はない)

とくに山田さん自◯の映像を見てもらう時の貝塚さんの話ぶりが決定的です。
私は、状況的に貝塚さんに幼稚園の監視カメラの映像を提供できるのは三田監督しかいないと考察しています。
貝塚さんは話ぶり的に山田さん自◯の映像を提供した人物の情報を意図的に隠している様子でした。
そうなると、インタビューの相手が三田監督(=映像の提供者)だと分かっていればそんなこと言う必要はありませんよね。

こういった理由から、貝塚さんはインタビュアーが三田監督であることを知らないまま取材に応じていると考えられるわけです。

おそらく三田監督は貝塚さんからSNSで連絡を貰ったことをきっかけに貝塚さんが「山下さんの魔法の被害者」であること、それまでの調査の過程から貝塚さんの狂気じみた執着性を察し、「魔法少女おじさん第2章」を作ることに思い至ったのではないでしょうか。
(トラウマの被害者をエンタメとして消費する姿勢は胸糞モノですが…)

なぜ正体を隠す必要性があるのか

完全に推測にすぎませんが、山田さんの歌と貝塚さんの因果、そして貝塚さん自身にも異様な執着性があることを察した三田監督がリアルなドキュメンタリーを作るためだと思っています。

山田さんと親交があった三田愛子本人として貝塚さんに接触すると、貝塚さんの調査対象の比重が三田愛子に偏り、貝塚さん本来の行動を歪めてしまう可能性があるかもしれません。
そのため、あえて第三者として貝塚さんに接触した。というのが私の考察です。

元園長先生がニセモノの可能性について

こちらは若干可能性は低めですが、ニセモノでもおかしくないかもなーといった感じ
園長が本物でも物語上の矛盾はたぶんないので、妄想だと思ってもらってOKです。

  • エンドクレジットの三田隆は三田監督の父親?
  • 園長先生の住所は“三田監督が貝塚さんに教えた”

先ほども触れた通り、エンドクレジットには三田監督の両親?と考えられる人物の名前があり、三田隆が父親であるならば年齢的にも元園長先生のキャストとそう矛盾はありません。

貝塚さんは三田監督に園長先生の住所をもらって訪ねていましたが、いくら三田監督でもそんな個人情報を入手できるでしょうか?

貝塚さんが園長だと思って訪ねた家は実は三田監督の実家で、三田父が園長のふりをして応対していた、という可能性があります。
なぜ園長の替え玉なんて用意するのか、それは貝塚さんが山田さんの本当の死因を一番知っているであろう園長に対峙した時、どのような反応をするのか三田監督が撮りたかったからではないかと私は考えています。
園長が本物か否かは関係なくて、貝塚さんが「本物の園長」と信じ込んでいればいいわけです。

三田監督は山田さんの死因が自殺であることはおそらくすでに知っていました。
しかしそれを貝塚さんに伝えてしまっては作品が成立しないので、あくまで貝塚さんが自力で真相にたどり着く必要があります。そして、貝塚さんの狂気性も作品にしたいと考えていたのはないでしょうか…

ちなみに「まじで三田隆=幼稚園の園長だった」という説も無いとはいえません。
そうなると、三田監督が父親である延長に山田さんを事務員として雇うよう斡旋した、みたいな可能性も出てきて妄想が膨らみます。

うーんきりがないなこの考察…
三田監督の掌で転がされている感覚。

第3話(最終回)まで総括した筆者の感想

さんざん嫌悪感を募らせていた三田愛子監督の掌で転がされていたことが分かった時の衝撃…
まじでやられたと思いました。

2話まで考察していた内容も、ある意味すべて覆されたというかそれどころの話じゃなかったというか。
最終話まで終えていくら考察しても「いやこれ結局三田愛子に転がされてるだけじゃね?」みたいな思いが振り切れない。
まじでやってくれたな三田愛子…

真実を放映している風のドキュメンタリー番組がなんか信じられなくなりますね(笑)
編集次第でいくらでも事実を捻じ曲げられるということをまざまざと見せつけられてような気がします。

ホラーらしい恐怖演出もびっくり要素も無いのに、これほど恐怖感というかジュクジュクした気持ちが残るのがすごい。
テレ東の本気度が伝わってきた一作でした…

『魔法少女山田』はどこで観られる?

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