【映画批評】【ネタバレなし】『シン・仮面ライダー』の賛否両論になった理由

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先日公開された『シン・仮面ライダー』を劇場で観てきました!

「賛否が分かれている」とタイトルを打っておきながら、観終わった直後の私の率直な感想としてはとても楽しかったです。
しかし情報の処理が追い付かなくて観終わった直後は何がどう良かったのか感想を言葉に表すのが難しい状況だったんですよね。

また楽しかったと感じる一方で、手放しに他の人におすすめできる映画かと言われるとそうでもないようにも思います。

そういった状況から、私の中では賛否両方の印象がある状態です。

実際、ネット上の評判を見ても、『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』と比較するとかなり賛否が分かれる作品となっています。

『シン・仮面ライダー』はなぜこうも賛否が分かれる結果になったのか、年間100本以上の映画を観る映画オタクかつ長年の仮面ライダーファンである私の感想を整理してみようと思います。

もりけぇ

ストーリー上のネタバレはしないように評価していきますので、まだ観ていない人も安心して読み進めてください。

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もりけぇ

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目次

良かった点

「シン」シリーズ特有のリアル感

「シン」シリーズの特徴は、なんといってもその設定や描写のリアル感です。

『シンゴジラ』では未知の生物であるゴジラの謎を少しずつ生物学・科学的な視点で解き明かしていく描写や、ゴジラ襲来に混乱する人々や政府の姿がとてもリアルに描写されていました。

『シンウルトラマン』でも本来のウルトラマンの設定体重が現実世界に反映されたような描写や、ゴジラと同じく外星人の襲来に混乱する政府の様子が描かれていました。
個人的には、ゼットンの放出する1兆度の火球の影響範囲について言及しているシーンが私の愛読書「空想科学読本」へのアンサーとして描かれていてとても興奮しました。

どちらも「本当にゴジラやウルトラマンが実在したら現実世界はこんな感じになるのでは?」という想像力を掻き立てられる作品に仕上がっています。

これらのリアル感ある細やかな設定は『シン・仮面ライダー』でも遺憾なく描かれていました。
仮面ライダーのコスチュームの役割や、変身機構についての設定が練りこまれていてとても観ていて楽しかったです。

一番印象的だったのは、初代仮面ライダーの設定にある「パンチ力15.5t」、「キック力22t」などの馬鹿力の設定がリアルに描写されていたことですね。
こんな馬鹿力で殴られていたショッカー戦闘員が大変かわいそうでした…

初代仮面ライダーの設定を忠実に再現している

仮面ライダー1号と言えば、藤岡弘、さんが「変っ身!」と大見得を切って変身ポーズと共に仮面ライダーに変身する印象が強いと思います。

しかし、初期の仮面ライダー1号は腰のベルトに風を浴びて風車を回転させることでエネルギーを発生させて変身するという設定だったのです。
なのでTVシリーズの仮面ライダー1号の最初の変身は、バイクで走ることでベルトに風を浴びて、バイクに乗ったまましれっと変身するというとても地味なものだったのです。

『シン・仮面ライダー』ではこの設定が忠実に再現されており、「これをちゃんと再現してくれるのか!!」と感心してしまいました。

歴代仮面ライダーや特撮シリーズのオマージュが多い

『シン仮面ライダー』では様々な特撮ヒーローや仮面ライダーシリーズのオマージュと思われる描写や要素がいくつも見られました。

私が気づいただけでも、キカイダー、仮面ライダークウガ、仮面ライダー555などのオマージュらしき要素に気付きました。

私が拾い切れなかったものもたくさんあると思うので、マニアックな特撮ファンならもっといろいろなところに気付いて楽しめると思います。

登場キャラが豊富でテンポがいい

『シン・仮面ライダー』には私が当初思っていた以上の数の怪人が登場しました。

詳細はネタバレを避けるために詳細は書けませんが、次々と新しいキャラクターが登場するため飽きのない展開が楽しめます。

『シン』シリーズを観ている人なら「おお!」と思うようなキャスティングもあり、過去作品とのつながりを妄想できることでしょう。

もりけぇ

ライダーも怪人も、マスクデザインがとにかくかっこよくて興奮しました!
暗闇で光る眼の演出、大好物です!

悪かった点

良くも悪くも「庵野監督作品」感が強い

ここからは、私の中でいまいちに感じた点、他の人に勧めにくく感じた理由について整理していきます。

まず真っ先に感じたのは、良くも悪くも「庵野監督作品」感が強いということです。

本作の監督である庵野秀明監督は、とても作品愛が深い素敵な監督です。
しかしとにかくマニアックでこだわりが強く、作品への解像度が常人には理解できないくらい高い人物でもあります。

そのこだわりの強さゆえ、時には自分が描きたいものを追求するあまり、観客を置いてけぼりにすることがあります。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を観たことがある人ならお分かりいただけるのではないでしょうか。

『シン・仮面ライダー』もまた、そんな庵野監督の強いこだわりが詰まった作品で、「観客を楽しませる映画」というよりは「俺が考える一番かっこいい仮面ライダー」を追求した映画であることが作品の端々から感じ取れます。

なので、今作の仮面ライダーは「シン・ゴジラ」や「シン・ウルトラマン」ほどのキャラクター性がなく、どちらかというと地味で燻し銀な印象を受けます。

また作中では庵野監督のこだわりにより一風変わった映像演出が使われていたり、意図的に画面が見にくいような演出がなされています。

こうした「観客ファースト」ではなく「庵野ファースト」に感じられる要素が随所に見られるため、観る人によっては理解が追い付かずにつまらなく感じてしまうかもしれないと思いました。

テンポはいいがとにかく展開が早い

怪人が多く登場し、場面転換も多いためサクサクとテンポよく進む本作ですが、
観る人によってはあまりにも展開が早すぎてダイジェスト感を感じるかもなと思いました。

小ネタや専門用語も多く、内容を理解する前に次のシーンに移ってしまうため仮面ライダーにあまり触れていない人からすると置いてけぼりになる可能性があります。

ネット上の感想の中には、「庵野監督が扮する仮面ライダーにひき逃げされた」と表現する感想もあるくらい、観客の理解を待たずに話がどんどん進んでいきます。

作中の出来事に感情移入しづらい

これは私が特に感じたことなのですが、『シン・仮面ライダー』は劇中の出来事がどこか他人事感があって感情移入しきれない節がありました。

『シン・ゴジラ』ではゴジラ襲来により実際に東京が大きな被害を被り、ニュースや政府のリアルな対応の描写によって私たちの生活にゴジラが入り込んできたような緊迫感がありました。

『シン・ウルトラマン』でも外星人が私たちの生活風景に溶け込んでいる様子が描かれていたり、大気圏外に浮かぶのゼットンが地球を滅ぼそうとしたりと私たちの生活に大きなインパクトを与える存在であることを感じることができました。

しかし、『シン・仮面ライダー』の劇中で悪の組織である「ショッカー」および怪人たちは大いなる目的を掲げてはいたものの、一般市民に対してシンゴジ、シンマンほど生活に致命的なインパクトを与えている描写が無かったのです。

要するに、シン・ゴジラ、シン・ウルトラマンと比較すると物語のスケールがかなり小さいわけです。
仮面ライダーは等身大のヒーローなので仕方ないのかもしれませんが…

なので、仮面ライダーとショッカーの戦いを観ていても、「仮面ライダーが勝たないとヤバい!!」という危機感がいまいち薄く、感情移入しきれない感覚がありました。

『シン・仮面ライダー』はこんな人におすすめ

私の総評として、『シン・仮面ライダー』は初代仮面ライダーや昭和特撮ヒーローのファンはにとってはオマージュ要素やニヤリとする要素も多く大いに楽しめる映画だと思います。

また、「庵野監督が描くリアルで解像度の高い仮面ライダーを観たい!」という人も間違いなく観た方がいいです。

一方で、分かりやすいエンタメ映画ではないため、『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』ほど万人受けするような映画だと思って観に行くと、あまりのマニアックさにギャップを感じてしまうかもしれません。

もりけぇ

コスチュームデザインやサイクロン号の変形、怪人のマスクなど、メカニックデザインが私のツボにぶっ刺さっていた作品でした!
個人的には時間を作ってもう一度観に行きたい作品です。

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